きりしまのなぎ

おっおっおっ

泡じけた夏

冷房と本の匂いがかけたグランジフィルター ある日が残した影が消える前に くぐもった音で目を覚ます 途切れ途切れの特別な呼吸 ネオン街は朝日にやられて味がしない 今度は自転車盗んで二人乗りしよう 僕達の青い匂いは誰かにとっての苦い記憶 暑さで鈍った…

模範的な呼吸

致死量を超える冬 小部屋に熟れる果実と地震 夜に婀娜めく思想 そうなんだ、ええ レンズの間で死ぬ蜉蝣 こだまし合う都市の歓び 靉靆とした被写体 僕 所有していた私 2019/03/03

明日あたりはきっと春だ かえったら多分カレーだ 世の中は案外 深刻じゃない 金がなくてもカードがある 払えなくても待ってくれる 世の中は案外 深刻じゃない 渋谷がなくても横浜がある 調味料がなくても西陽がある 深刻じゃない 蕎麦屋のカレーはおいしいし…

プラネタリウムの方が綺麗

線香花火でもあるまく後腐れあるし 打ち上げ花火は上から見るし 浅くて狭い話を毎晩しよう モスコミュールはウォッカ抜きで 花火というより火花 傷の跡をなぞらえて 真春のペンで殴り書こう 本当はコーヒーも冷めきってるんだけど 君の髪色は明るくて もう夜…

三年間

一週間前、旧友に会った。 夕方、バイトまで何もすることがないので雑司が谷をふらふら歩いていた。ポケットに手を入れながら線路近くを歩いていると、遠くに見慣れた顔があった。僕が目を下に向けながら手を振ると、あちらもそれに返してくれた。髪が少し短…